12/4 OA楽曲とコメント

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F.シューベルト作曲:アルペジオーネソナタ第2楽章
演奏:堤剛vc

堤さんの若かりし頃の演奏記録です。まだ、世界のコンクールで良い成績を上げた直後でこれからいよいよチェリストとして活躍しようとする頃の録音で、その演奏は、そう言うこれからへの期待とか希望とかやる気が伝わって来ます。若さとは何かという事が良く分かるリリシズム溢れる演奏であると思います。

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E.エルガー作曲:セレナーデ
演奏:サー・ジョン・バルビローリ指揮シンフォニア オブ ロンドン

今、この原稿をロンドンで書いています。イギリスは表と裏がはっきりしていて決して本音を表に現すようなようなところは有りません。一線を決して越えない節度、折り目正しさが有りますね。音楽にもそう言う国民性が出ており毒にも薬にもならない面白くない曲や演奏が多いです。
エルガーの音楽も穏やかなものが多いですね。しかし、一旦バルビローリが指揮をするとその音楽に俄然と活力と輝きが出て来ます。

11/27 OA楽曲とコメント

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J・S・バッハ作曲:無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調よりプレリュード
演奏:堤 剛vc

堤さんがミュンヘンやブダペストでのカザルスチェロコンクールで入賞してすぐにCBSソニーが専属契約していろんなレコードを録音した1つです。
その当時堤さんはインディアナポリスでシュタルケルの助手をしている頃でまさに売り出し中というところでした。
ソニーは堤さんの様々な演奏をレコードにしましたがこの曲はバッハの無伴奏チェロ組曲全集の中の一枚で確かクラシック部門のレコード大賞を取ったと思います。
彼は最近又バッハの無伴奏チェロ組曲全集をCDに録音しました。新しい方は大人の演奏というか全体にゆとりと大らかさに溢れています。それに対してこのレコードでは気負いの様なものや覇気が感じられます。

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R・シュトラウス作曲:交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」
演奏:R・ケンペ指揮、シュターツカペル・ドレスデン

子供の頃上映された「2001年宇宙の旅」の冒頭猿の様な類人猿の様なものが空中に骨を放り投げる辺りでこの曲の出だし部分が使われ、それまであまり聴かれる事の少なかったこの曲を一躍有名にしてしまいました。映画で使われた演奏はカラヤンの指揮でウイーンフィルの演奏をデッカが録音したものなんですが映画会社がデッカに使用許可を求めた時に条件として名前を隠す事を要求しました。それが、上映されるやこの曲のレコードがバカ売れしてどのレコード会社も儲けたんですが、デッカは名前を出していればほぼ独占的にカラヤンウイーンフィル盤が売れただろうに惜しい事をしましたね。

11/20 OA楽曲とコメント

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G.カサード作曲:レクイオブロス(口説き文句)
演奏:G.カサードvc、原智恵子pf

カサードはスペインのカタロニア州バルセロナ出身の巨匠と呼ばれる名チェリストです。
カサードは長い間作曲家のメンデルスゾーンの従兄弟の孫にあたる銀行家メンデルスゾーン氏の奥さんと不倫関係に有りました。ユダヤ人であったメンデルスゾーン氏は生き残りのためナチスに協力しました。それが不利に働き戦後カサードの活動にブレーキをかけました。
日本に演奏旅行した時に選んだのが原智恵子さんで、カサードの人柄に惚れ込んだ彼女は帰国した彼を追って伴侶離婚して追いかけます。そうした大恋愛を経て2人は結婚し、デュオ・カサードとして世界中を演奏し好評を博しました。
カサードはカザルスのチェロの弟子なんですが本当は作曲好きで、現存するだけでもかなりの曲を残しています。
今日の曲はレクイオブロス(口説き文句)、原智恵子さんはどんな口説き文句で落とされたんでしょうか?

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エマニュエル・セジョルネ作曲:マリンバと弦楽の為の協奏曲
演奏:塚越慎子(マリンバ)

近代に完成したマリンバは編曲じゃなくオリジナル曲はほとんど最近の作品です。
セジョルネはフランスのリモージュで生まれた作曲家でも有りマリンバ奏者です。この曲は恐らく自分で演奏する為に作曲されたと思うんですが、ルーマニアのマリンバ奏者に献呈してるんですね。憂いに満ち、ラフマニノフを彷彿とさせる第1楽章とフラメンコ風の第2楽章からなる素晴らしい曲です。

11/13 OA楽曲とコメント

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G.タルティーニ作曲:アダージョ、チェロ協奏曲より
演奏:パウ・カザルスvc

カザルスはバルセロナから海外沿いにバレンシアの方に車で40分位行った海辺のヴェンドレルと言う町で生まれました。
家は貧しくお母さんはパウの学費を捻出する為自分の髪の毛を売ったそうです。お父さんは教会のオルガニストだったようで収入はイマイチだったようです。
この辺りはカタロニア地方と言ってスペイン語では無くてカタロニア語を話し独立心が強かったのです。
第二次世界大戦の前スペインの王朝は市民革命によって倒れ共和制に移行しました。しかし、国軍を掌握していたフランコ将軍がクーデターを起こし軍事政権を打ち立てました。
カザルスはフランコに反対し音楽を通じた人脈を利用して外国から圧力をかけようと試みますが結局失敗します。
ナチスと敵対していたフランス、イギリス、アメリカなどがフランコ政権を承認しました。ナチスと反対の立場をとっていた様に見えましたが結局国家主義という点ではナチス同類だったのです。
カザルスは怒り、自分はフランコ政権を承認する国では演奏しないと宣言してスペインを出て南フランスのプラードと言う寒村に移住してしまいます。当時人気絶頂、ギャラも非常に高かったカザルスは音楽界から身を隠してしまいます。
カザルスが出て来てくれないならこっちから行こうと物凄い数のファンがプラードを訪れます。村も大混乱なので結局年に1回音楽祭を開いて来て貰うという事になったのですがホールも無いし2、3回やって、近くのもっと大きな街に音楽祭は移りました。
カザルスは名声や収入よりも自分の信念を貫いた音楽家で有りました。晩年はヴァイオリニストのアレキザンダー・シュナイダーのお世話でお母さんの母国であったプエルトリコへ移住してそこで亡くなりました。
彼の演奏には揺るぎない信念と強さが感じられます。

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伊福部昭作曲:マリンバとオーケストラの為のラウダ・コンチェルタータ
演奏:塚越慎子マリンバ

皆さん、マリンバって楽器ご存知ですか?僕も何となくは分かっていたのですが、木琴やシロフォンとの違いは分かりませんでした。塚越さんにお聞きしますと木琴とシロフォンは同じでオーケストラで使われる打楽器で音に残響があまりなく、細かい音程付きの打楽器と言う感じです。骸骨が踊る場面に使われたりしますね。
それに対してマリンバは音が柔らかく残響が長いです。木琴を改良して独奏楽器に仕上げたんですね。楽器として完成したのは最近との事です。従ってマリンバの為のオリジナル曲はどれも近代現代の作品ばかりです。
塚越さんがCDに入れられたのはゴジラで一躍有名になった伊福部昭の協奏曲です。ゴジラの音楽でも分かるように伊福部さんの作品はジャパニーズで同じ音形がしつこく何回も繰り返されます。
打楽器の側面と弦楽器のような響きを持つマリンバを独奏楽器として起用しさてどんな曲を書いたのでしょうか?

11/6 OA楽曲とコメント

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J.ブラームス作曲:ハンガリアン舞曲17番
演奏:H.v.カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

ブラームスはハンブルグ時代にピアノの名手だった事からポピュラーからクラシックと幅広く演奏するヴァイオリ二ストから演奏旅行の仕事を貰いました。それまでブラームスはクラシック音楽を専門に勉強していたためこのヴァイオリ二ストとの邂逅は非常に彼の音楽的幅を広げるのに貢献しました。
また、ブラームスはヴァイオリ二ストが得意であったジプシー音楽も吸収しそれをこのハンガリアン舞曲として纏めました。
当時のヨーロッパには圏外からの音楽はほとんど入ってくる事が無く、ジプシーの音楽は非常に珍しい物として受け入れられました。しかし、ジプシーの演奏は良いなと思っても楽譜がないため演奏する事が出来ませんでした。ブラームスのハンガリアン舞曲は大ヒットし同時にブラームスの名声も高めたとの事です。

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F.クライスラー作曲:ラ・シャッス・エン・スタイル・デ・カトイエ
演奏:レイ・イワズミvn

今回のゲストはヴァイオリン製作者のプロイスさんでした。最近彼が取り組んでいるのは1600年から1700年代に作られた所謂名器とされている作品のコピー作りです。
ただ見た目を似せるんじゃ無く記録に残っているデータを元に似た材質の木材を探しての製作です。コピーするもとが手元に無くてよく作れるなと感心です。

10/30 OA楽曲とコメント

J.ブラームス作曲:チェロソナタ第1番ホ短調より第3楽章
演奏:公ちゃんvc、斎藤律子pf

ブラームスはロマン派の作曲家でシューベルト、メンデルスゾーン、シューマンと続いたロマン派の音楽を更に発展させましたが昔の作曲家も大変勉強していました。
中でもベートーベンとバッハは非常に研究した様です。ブラームスが書いた最初の交響曲は着手から完成まで20年近く費やして推敲に推敲を重ねました。後に指揮者のハンス・フォン・ビューローはこの曲をベートーベンの第10番交響曲だと言ったと言われるくらいです。
バッハについても相当研究しました。特に対位法についてはバッハを先生にしていますね。
実はこのチェロソナタの第3楽章はバッハの曲を使って書かれています。バッハのコントラプンクトを材料にして対位法を使ってフーガ等にしています。
それだけバッハに傾倒してたんですね。
今日の演奏は去る10月10日神楽坂の音楽の友ホールで開催された公ちゃんの演奏会からの録音です。実演ですのでミスも有りますがチェロを初めて50年の公ちゃんの熱演を聴いて頂きました。

F.クライスラー作曲:ロマンツェ
演奏:レイ・イワズミvn

クライスラーは19世紀を代表するヴァイオリンの名人ですが、とてもユーモアの有る人だったとの事です。
自分の演奏会でアンコールのような小品をよく演奏したのですが、それがクープランとかプニャーニとかあまり有名でない作曲家のあまり聴いた事の無い作品です。最初はみんなそうだろうと大人しく聞いていたのです、ある音楽新聞記者が不思議に思ってクライスラーに突っ込んで聴いたところアッサリと自分が書いたと白状したそうです。でも、多くの人々が騙されるだけ有っていかにもその作曲家が書いたようなスタイルで書いているんです。これはクライスラーがその作曲家に関して深い理解が有ってはじめて成り立つんですね。
それを演奏して中には「やっぱりクープランは優雅だね~。」とか物知り顔で人に話している人も居たでしょうし、クライスラーはそれを又ほくそ笑んでいたのでは無いかと思います。

10/23 OA楽曲とコメント

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Z.コダーイ作曲無伴奏チェロソナタより第3楽章
演奏:ミクローシュ・ぺレーニンvc

コダーイの無伴奏チェロソナタはハンガリー出身のアメリカのチェリスト シュタルケルは同じくハンガリー出身で有名な作曲家を父に持つペーター・バルトークが録音技師を務めたペリオドと言うレコード会社に録音したレコードが大ヒットし、シュタルケルやペリオドレコードと共にコダーイの名声をも一躍有名にしました。以来この曲は世界中のチェリストにとっての重要なレパートリーになり演奏される様になりました。
ペレーニはシュタルケルより20歳以上年下で戦後の生まれですが、戦後ハンガリーは共産主義国家であった為西側諸国にはペレーニの存在は余り伝わってなかったです。しかし、ハンガリーは元々弦楽器奏者を多数輩出しており、現在では日本からも多くの学生が留学しています。

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F.メンデルスゾーン作曲:ピアノトリオ第2番二短調より第2楽章
演奏:R.ブフビンダーpf、J.スークvn、J.シュタルケルvc

メンデルスゾーンはピアノトリオを2曲書いていますがこの第2番はピアノトリオの名曲の中でも有名でよく演奏されます。中でも第2楽章はとても美しいメロディで素晴らしい楽曲です。
ウイーン生まれのブフビンダーとプラハ生まれのスーク、ブダペスト生まれのシュタルケルと東ヨーロッパで生まれた3人が美しいハーモニーを作り上げています。

10/16 OA楽曲とコメント

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G.フォーレ作曲:シシリエンヌ
演奏:藤原真理vc

藤原真理さんも大阪のご出身。それも、僕が最後に住んでいた北畠の住人でした。当時はチェロの技術を体系化してたのは斎藤秀雄さんのみで多くの人が斎藤秀雄さんの本に殺到していました。藤原真理さんのお父さんもその1人で娘を世界的に通用するチェリストにすべく毎週東京までレッスン通わせてましたが、とうとう一家は娘のために東京に引っ越ししてしまったのです。それも桐朋学園のすぐ横で真理さんは現在そこにお住まいです。
それだけの事をしてチャイコフスキーコンクールで第三位という成績を収めました。
親子鷹ですね。

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バッハ作曲「コーヒーカンタータ」
Christopher Hogwood 指揮
The Academy Of Ancient Music

10/9 OA楽曲とコメント

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J.S.バッハ作曲:アダージョ
演奏:M.ロストロポーヴィチvc、ヘルベルト・タケチ(オルガン)

チェロとオルガンの合奏と言うのは珍しい組み合わせです。オルガンは幼稚園によく有った足で踏んで空気を送るオルガンなら合奏は容易なんですが、オルガンと言うのは大体キリスト教会に据え付けられていてそこに行かないと演奏出来ません。オルガンを演奏する位置も大抵音が出る所から離れていて合奏の相手は更にオルガン奏者の近くに場所を決めます。そうすると大抵聴衆からかなり遠いところで演奏するという事になります。
ですからオルガンとデュオ曲を演奏する事は稀な事になっています。
それだけにCDなどへの録音も少なく穴場といえます。亡くなったロシアの人気チェリスト ロストロポーヴィチがオルガンを相手に朗々とチェロを鳴らしています。

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デイビッド・ベイカー作曲:Singer of Songs
演奏:ヤーノシュ・シュタルケルvc、ジョージ・ガーバー(パーカッション)

クラシックの作曲家がジャズの巨人達に捧げたクラシック風のジャズ。いや、ジャズ風クラシックかも。それを名人のシュタルケルが演奏してます。貴重な録音ですね。

10/2 OA楽曲とコメント

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E.グラナドス作曲:間奏曲、歌劇ゴエスカスより
演奏:Y.シュタルケルvc練木繁夫pf

グラナドスはこの歌劇のニューヨーク初演に立ち合うためアメリカに行きましたが帰ろうとした時にウイルソン大統領から宴席を招待されたため予定を変更して帰りましたが、その船はロンドン経由で帰国するんですがロンドンからバルセロナへの大西洋上でドイツのUボートに撃沈され自身は救命ボートに救助されたのですが海に放り出されや奥さんを助けようと飛び込んでそのまま上がってこなかったと言う悲劇的な最期でした。

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山形由美さん演奏
アダン作曲「永遠のジゼル」

先週に引き続き、ゲストはフルート奏者の山形由美さんでした。
二週にわたって、たくさんお話しいただきました。
バレエに熱中されていた頃のお話、那須のお話、ご自身で手作りされたフルートケースのお話などが印象的でした。
お送りしたのは30周年記念アルバム「Eternally~永遠のジゼル~」より、アダン作曲「永遠のジゼル」でした。
バレリーナスタイルの素敵なジャケットにもご注目ください。