1曲目:モーツアルト作曲弦楽五重奏曲ト短調 K515
モーツアルトは陽気な性格の人だったと思います。又、ハイドンの様な雇われ作曲家ではなく一曲一曲人からの注文によって作曲するというタイプの作曲家であったので、注文はほとんどハレの日の音楽だったろうと想像出来ます。ですから圧倒的に長調の曲が多いのです。
しかし、極めて少ない短調の曲はそのどれもが素晴らしいです。特にト短調と言う調性はモーツアルトの調性と呼ばれる位良い作品が多いです。例えば交響曲第40番がそうですね。
この弦楽五重奏曲も交響曲第40番に負けない素晴らしい作品でモーツアルトの室内楽としては長い曲です。第1ヴァイオリンとチェロは総譜で言えば一番上の段と下の段に書かれていてそれを外声といい内側の第2ヴァイオリンとヴィオラを内声と呼んでます。弦楽四重奏では外声と内声は2対2であるのに対してこの弦楽五重奏は2対3となって内声部のほうが厚く書かれています。メロディを第1ヴァイオリンだけが担当するのではなく第1ヴィオラもが担当しています。
モーツアルトはチェロの様にゴソゴソ低い音で何弾いてるか分からんような楽器は嫌っており逆に低音でも割に明瞭に音を出すヴィオラを好んでました。ヴィオラが活躍する良い曲が多いですね。
演奏は東京クヮルテットと第2ヴィオラをピンカス・ズーカーマンが担当しているものを聴いて頂きました。東京クヮルテットはまだ日本人の演奏家が未熟で世界に認められて無かった頃に桐朋学園出の演奏家が集まって始め国際コンクールで優勝してから本格的な活動を始めました。メンバーは途中で入れ替わり初代メンバーはヴィオラの磯村さんのみとなり結局昨年解散してしまいました。色んなCDを聴き比べましたがこの東京クヮルテットの演奏が一番しっとりしてモーツアルトのト短調に相応しいと思いました。
2曲目:1966カルテット「Hey Jude」
女性4人のカルテット「1966カルテット」から、ヴァイオリンの松浦さん、チェロの林さんが番組初のゲストとして来てくださいました。
ニューアルバム「アビイ・ロード・ソナタ」からの一曲、「Hey Jude」。ビートルズの曲の美しいメロディと、クラシックの名曲とのコラボレーションが、ビートルズ好きにもクラシック好きにも楽しめるんではないでしょうか。ビートルズがレコーディングをした聖地、アビイ・ロード・スタジオで録音されたそうです。ビートルズの「アビイ・ロード」と同じ衣装、ポーズで撮影されたジャケットも見どころですね。