月別アーカイブ: 2014年8月

8/24 OA楽曲とコメント

バッハ・シャコンヌ (1)

一曲目:J.S.バッハ作曲シャコンヌ
演奏:斎藤記念チェロアンサンブル

僕の最初のチェロの先生は斎藤秀雄さんのお弟子だったと言う事は以前に書きました。僕の様な全くチェロを触った事も無い様な者が何とかここ迄弾ける様になったと言うのは最初の先生、東海正之先生のお陰であると最近つくづく思います。
斎藤秀雄さんの子供の為の音楽教室からは実に多くの世界的演奏家が出ています。そんな音楽教室で定番曲として良く演奏されたのがこのバッハのシャコンヌだったと聞いています。後はチャイコフスキーの弦楽セレナーデ、モーツアルトのディベルティメントなど僕らも東海正之先生の元で良く演奏しました。
バッハのシャコンヌは無伴奏ヴァイオリンの為の6曲からなるソナタとパルティータの中のパルティータ第2番ニ短調の最終楽章です。シャコンヌと言う形式は変奏曲の一種で最初にテーマが提示されそれを元に様々に変化してゆきます。よくこれだけ変奏が出来るなと言うほど沢山変化してゆき大宇宙を作って行ってます。
またこの曲はいろんな楽器用に編曲された曲としても有名です。一番有名な編曲は偉大なピアニストで作曲家のブゾーニがピアノの為に編曲したものです。良くピアノリサイタルで取り上げられます。他の編曲は大体このブゾーニのピアノ版を元に再編曲されたものですね。
チェロばかりでのシャコンヌ。宇宙そのものですね。

シューベルト・弦楽五重奏

二曲目:F.シューベルト作曲 弦楽五重奏曲ハ長調
演奏:メロス弦楽四重奏団と第2チェロをロストロポービッチ

シューベルトの晩年の作品です。何か達観したというか悟りを開いたと言うか静かな曲です。聴衆のウケを狙った所は一つも有りませんね。
大体、弦楽五重奏曲と言う形式はハミ出した形式で不安定です。弦楽四重奏と言う形式は和声音楽の基本で有るソプラノ、アルト、テノール、バスという4つの声部を弦楽器にあてはめたもので、それに何かが加わるというのは余分なんですね。ピアノ五重奏という形式は弦楽四重奏にピアノが対抗したり、協和したりして音楽を作ってるんです。弦楽五重奏曲の多くは以前聴いて頂きましたモーツアルトのようにヴィオラが加わる事が多いんです。第1ヴァイオリンに対して第2ヴァイオリンがサポートをする役割が有るように第2ヴィオラは第1ヴィオラをサポートします。そうするとチェロだけが仲間外れで一人ぼっちです。二人掛かりでやってくるvnとVAに対抗しなければならなくなってきます。
この弦楽五重奏曲は音の大きなチェロが2台のパワーでやってきますので他の声部は大変ですね。

8/17 OA楽曲とコメント

1

一曲目:カール・ダヴィドフ作曲「泉のほとりで」
演奏;エマニュエル・フォイアマン

僕が最初に手ほどきを受けた先生は東海正之先生で斎藤秀雄さんのお弟子でした。同じヴァイオリン族でもヴァイオリンとチェロでは演奏する困難さが違います。先ず、弦長がチェロは長いです。同一弦上で例えばオクターブの跳躍をする場合、手の大きさはだいたい同じとして、距離が遠いです。また弦が太いので振動する迄に時間がかかると言う事が有るんです。
ですからチェロ協奏曲等それを考慮してヴァイオリンより易しく書いてます。
僕が言いたいのはヴァイオリンなら一人でに弾けてもチェロはそうはいかないのですね。合理的な弾き方をしないと弾けないんですね。ヴァイオリンの様に感性で弾くと象がのたうち回る様な演奏になります。
そんな所に現れたのがフォイアーマンです。
斎藤秀雄さんは近衛秀麿さんに付いてドイツに行ったんですがそこでビックリ!クレンゲルの奏法に接するのです。そして彼は帰国を延長してクレンゲルににチェロを習います。そこで同じクレンゲルのの弟子でフォイアーマンと言う滅法上手いのが居る事を知りますが一旦帰り再びドイツに行きます。今度はフォイアーマンに習う為です。
フォイアーマンは今迄の演奏と違ってポルタメントを減らしてすっきりとさせ、曖昧な音程やリズムを無くし明晰でクリアーな演奏でした。
そして日本に帰国してその近代的な奏法を広めようと桐朋学園の隅を間借りして子供の為の音楽教室を始めます。そこで育ったチェリスト達が次々とコンクール優勝をし一躍注目されます。東海先生もそう言う中でチェロを学ばれました。
フォイアーマンが如何に近代的な奏法であったかはこの演奏を聴いて頂くと分かると思います。

2

二曲目:シューベルト作曲:歌曲 魔王 ウィルへルミ編曲
演奏:ギドン・クレメルVn

父親は馬に乗って背中にしがみつく子供と共に真夜中を疾走してゆきます。子供には魔王が命を狙って物凄い勢いで追いかけて来る、と子供は言うのですが父親には見えません。ようやく言えに着いた時後ろを見ると子供は死んでいました。
お盆も過ぎましたが十分過ぎるほど怖いお話しですね。

8/10 OA楽曲とコメント

ドンキホーテ

一曲目:リヒアルト・シュトラウス作曲;交響詩ドン・キホーテ
演奏;チェロ;ヤーノシュ・シュタルケル、レナート・スラットキン指揮セントルイス交響楽団

この曲の元になった小説はスペインの小説家であるセルバンテスです。彼は家族の生活を支える為にこの小説を書いたと言われてます。そして1605年に出版した所爆発的な人気となりたちまち海賊版が出回る騒ぎとなったそうです。しかし、彼は版権ごと出版社に売ってしまったのでいくら売れても自分の懐には入らなかったとの事です。
因みに一番よく出版された書物No.1は何かご存知でしょうか?はい。正解。それは聖書ですね。では、No.2は?そうなんです。ドン・キホーテなんですね。
さて、リヒアルト・シュトラウスはこの小説を題材にして7つ書いた交響詩の6番目にこの曲を作曲しました。
初演は1898年ドイツのケルンで行われました。有名なチェロの先生グリュッツマッハーが独奏チェロを担当しました。
曲は変奏曲の形式をとっており、まず序奏部ではドン・キホーテが騎士道の本を読んで自分が騎士だと信じこんでゆきます。次に主題。ドン・キホーテを独奏チェロで、サンチョ・パンサは独奏ヴィオラで表しています。ですから独奏チェロが出て来たらドン・キホーテ、独奏ヴィオラが出て来たらサンチョだと思って下さい。
第1変奏では、風車を巨人と思って突撃しますが跳ね飛ばされて地面に叩きつけられます。これは、セルバンテスの時代のスペインとオランダの関係を風刺していると言われています。風車がオランダの象徴、騎士がスペインの象徴との事です。
第2変奏は羊の群れを敵兵と思って突撃します。
第3変奏ではソロソロ嫌気がさして来たサンチョとの言い争い。
第4変奏では懺悔者が携える聖像を誘拐されている貴婦人と思い込みまた突撃するも叩きつけられる。
第5変奏ではダルシネア姫への思い。
第6変奏では通りがかりの女性をダルシネア姫と思い込み。
第7変奏ではその女たちにからかわれ目隠しされて木馬に乗せられるんですが、それを空飛ぶ魔法の馬であるとうちまたがって巨人退治に向かうのです。
第8変奏では舟に乗って囚われの王子様を救出に向かうのですが水車に呑み込まれてしまいます。弦でピッチカートが出てくるんですが水滴を表現しています。
第9変奏では2本のファゴットで表現される修行僧を悪魔と思って襲いかかりますが逃げられてしまいます。
第10変奏では友人が妄想から救い出そうと決闘を申し込みそれでドン・キホーテは冒険を諦めてトボトボと村に帰ってゆきます。
第11変奏は死の床にあるドン・キホーテは回想します。そして独奏チェロがグリッサンドをして臨終のドンを表しています。
シュトラウスが交響詩で変奏曲を使ったのは唯一この曲のみです。
どうか、皆様9月の日本フィルのサントリーホールでのこの演奏会を是非聴きに行って下さい。

ovcl_00495_h14

二曲目:パウ・カザルス作曲;チェロアンサンブル曲 「東方の3賢人」
演奏;ミラクルチェロアンサンブル

東方の3賢人と言えばクリスマスが近づくとこの話や、カイバ桶やそう言う物が出て来ますが、新約聖書に出てくる逸話です。キリストの誕生に立ち会った3人の賢人。その情景がチェロだけのアンサンブルで描かれています。落ち着いた心洗われる音楽ですね。

8/3 OA楽曲とコメント

シューベルト アルペジオーネソナタ

一曲目:シューベルト作曲 アルペジオーネ ソナタ
演奏:ミッシャ・マイスキーVc

この曲はシューベルトが作曲した只一つのチェロの曲なんですが、実はチェロの為に書かれた物ではありません。アルペジオーネの為に書かれたソナタです。アルペジオーネとはどんな楽器かと言いますと現在のチェロとギターを足して2で割った様な楽器です。大きさはチェロを少し小さくした様な大きさで、弦は5本。チェロの属するヴァイオリン族の楽器でなくもう廃れてしまったヴィオール族の楽器で、ヴィオラ・ダ・ガンバの様にフレット(弦を押さえやすい様に作られた指板上の出っ張り)が付いてます。柔らかな音がしますが、300人以上の大きなホールでは音が小さくそれが廃れてた理由です。
アルペジオーネが廃れてからこの曲はもっぱらチェロで演奏されています。チェロは5弦でなく4弦ですのでこの曲の演奏は非常に難しく、難易度の高い曲で有ると位置づけられています。それに反するように曲はとっても美しく全曲が美しいメロディーに溢れています。

バッハ無伴奏 ピエールフルニエ

二曲目:②J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番からアルマンド
演奏:ピエール・フルニエ

①と同じ様にこの曲もチェロの為に書かれた曲では有りません。ヴィオラ・ポンポーザーと言う現在のヴィオラを少し大きくしたサイズで弦はチェロの一番音の高い弦の更に5度上のエー(e)線が張られていました。ところがこの楽器もやがて廃れてしまい現在では普通のチェロで演奏されます。ヴィオラ・ポンポーザーの一番高いe線で弾く様に書かれたところは5度下のa線で弾かなくてはならず弦の高い所で弾かなくてはなりません。
6曲の無伴奏チェロ組曲中最も難易度が高い曲としてあまり上手でない演奏者を苦しめています。6つの序奏と舞曲からなるこの曲の2番目即ち序奏の次ぎの曲です。踊りの曲でフランス宮廷でよく流行った曲です。
演奏しているフルニエはフランスのチェリストで日本に非常に人気が有った人です。美音の持ち主で気品の有るルックスとでチェロのプリンスと言う名前が付けられました。子供の頃罹った小児麻痺で片足が動かず、ステージに登場する時には杖を突いて登場し彼のチェロはお付きの誰かが持って現れ、その様子からもチェロのプリンスという称号がピッタリの人でした。