月別アーカイブ: 2015年5月

5/24 OA楽曲とコメント

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E.エルガー作曲:愛の挨拶
演奏:公ちゃんvc、松本素矢子pf
僕の演奏で聴いて頂きましたエルガーの愛の挨拶です。
この曲は結婚前に奥さんになる女性アリスに贈った曲です。曲を女性に贈るなんて素敵ですね。それでアリスはコロっといったのかも知れませんね。アリスはエルガーより8歳年上だったそうです。良い奥さんだった様ですよ。
元々、ヴァイオリンとピアノの曲として書かれましたが、素敵なメロディーですので色んな楽器に後の人が編曲してます。
このCDは富士通テンさんのご協力で出来たものです。神戸に富士通テンさんの本社が有り、オーディオメーカーさんはどちらもそうなんですが、本社の中に立派なスタジオが有るんです。そこで、富士通テンさんの技術者の方に録音して頂きました。随分前の事です。中々気に入った録音が出来ず、最初の頃はテイク2,3と撮り直してましたが、録音が進むと疲れて来て多少傷が有ってももういいわになって行った事を覚えています。

 

J.S.バッハ作曲:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調よりプレリュード
演奏:水谷川優子vc
バッハはチェロの為に伴奏無しの独奏チェロの為に組曲を6曲残しました。後にベートーベンがチェロとピアノの2重奏曲、通称チェロソナタを5曲書きました。これも大変な名曲で、誰が言い始めたか知りませんが、バッハの6曲を旧約聖書、ベートーベンの5曲を新約聖書と命名しました。うまい事言うな~と思っています。その通りですね。
バッハのチェロ組曲の6曲は、ト長調、ニ短調、ハ長調、変ホ長調、ハ短調、ニ長調と言う調性で書かれています。長調が4曲、短調が2曲。6曲は大体同じ構成で書かれています。第1曲がプレリュード、1曲全体を表現してています。自由な曲想です。次の楽章からは全てその当時宮廷で踊られていた舞曲になっております。最初の舞曲がアルマンドです。少しゆっくりした舞曲です。次がクーラントで早い舞曲です。次がサラバンドと言うゆっくりとした舞曲。次が第1番と第2番がメヌエット、第3番、第4番がブーレ、第5番、第6番がガボットと言うどれもリズミックな舞曲です。最後の楽章がどれもがジーグと言う早い曲で締めくくられています。
第1番のプレリュードはどう言う風に表現するかが演奏者によって大きく別れる曲です。テンポの解釈が色々有って、ゆっくりとのんびり弾く人も有れば物凄い早さで駆け抜ける人もいます。
今日は日本とドイツで活躍されておられます水谷川優子の録音で聴いて頂きました。

5/17 OA楽曲とコメント

エルガー celloコンチェルト

E.エルガー作曲:チェロ協奏曲 第4楽章
演奏:ジャクリーヌ・デュプレvc、ダニエル・バレンボイム指揮 フィラデルフィア管弦楽団
エルガー唯一のチェロ協奏曲です。チェロはピアノやヴァイオリンのように愛好家の人口が多くないので、レパートリーも少なくて済むんです。チェロ協奏曲ではハイドン、ボッケリーニ、シューマン、ドヴォルザーク、サンサーンス、ラロの6曲をいつでも弾ける様にしておれば商売になったのですが、聴衆の音楽経験が増えてゆくに連れ、もっと無いんか?と言う事になって近年ではよく弾かれる曲がこのエルガーです。エルガーの作品全般に言える事ですが、最初聴いた時にはさほど良い音楽の様に聴こえなくても何回か聴いている内にジワジワとその良さが分かってくるんです。
この作品も完成してから暫く余り演奏されなかった様です。それに火を着けたのがジャクリーヌ・デュプレです。彼女がデビューしたのがこの曲で世界的名指揮者ジョン・バルビローリの指揮で演奏しイギリスの聴衆から大喝采を浴び一躍有名になりました。それ以来色んなチェリストがこの曲をレパートリーに入れ始め今ではかなり有名な曲になっています。
デュプレの演奏は大体どの曲でも非常に力強く、感情のおもむくままに自由奔放な演奏をしますがこの曲でも非常に情熱的に弾いています。
しかし、僕はこの曲は老人が世の中に認められ喝采を浴びた若い頃の自分の栄光を静かに振り返って味わっている様な曲に思えてなりません。ジャクリーヌ・デュプレはこのレコードを夫のバレンボイムと入れてから暫くして筋無力症の様な病気にかかりチェロを弾けなくなってしまいます。旦那のバレンボイムも彼女の元を去り別の人と再婚したり、死ぬまでの数年間は栄光から谷底へという事を味わいました。彼女が死ぬ前にチェロが弾けたらもっとこの曲の本来の寂しさを表現したと思います。

近衛秀麿作曲:ちんちん千鳥
演奏:水谷川優子
ドイツと日本を半々で活躍されておられるチェリストの水谷川優子さんはNHK交響楽団を創設された近衛秀麿さんのお孫さんに当たられるそうです。近衛秀麿さんは山田耕筰に作曲を習い、後にドイツへ留学して日本に本格的なオーケストラを作ろうと奔走された方で、指揮者です。小澤征爾さんらの世代が出てくるまでの時代を築いた人です。
近衛家では水谷川優子さんが生まれる前にすでにこの子にはチェロを習わせようと決められていたそうです。生まれる前からチェリストだったって凄いですね。
近衛秀麿さんは作曲も随分され、その中でも一番有名な曲がこのちんちん千鳥でしょうか?この曲は鈴木三重吉や西条八十らが子供に良い詩を、と言う赤い鳥運動を展開したのですが、有る時成田為三が詩に曲をつけ児童詩集に楽譜を付けて出版したところ大当たりをして、赤い鳥が童謡になってしまった感が有ったそうです。その中でも現在でも歌い継がれている曲がちんちん千鳥でしょう。因みに成田為三は近衛秀麿さんを嫌っていて近衛さんが作曲した童謡の同じ詩に曲をつけ争う様に出版したらしいです。しかし、成田為三の曲はヒットせずポシャったらしいです。
お祖父さんの在りし日を偲んで水谷川優子さんが演奏します。

5/10 OA楽曲とコメント

フォイアマン からたちの花

1、山田耕筰作曲:からたちの花
演奏:エマニュエル フォイアマン
フォイアマンは短い生涯で2度も来日しています。昭和9年と2年後の11年です。彼の演奏の特徴は難しい曲でも聴いている人に難しさを感じさせない点だと思います。その点ではシュタルケルと似ています。当時の日本は欧米帝国主義に追いついて仲間入りしようと焦る余り既得権益を持った欧米諸国からはじかれようとしており、強引に勢力拡大を図っていました。低い経済力で欧米並みの軍事力を備えようとして、合理的な判断を超えた精神力を重視する傾向に有りました。フォイアマンの演奏は非常に知的で合理的だった為に当時余り評価されなかったようで、演奏会場の日比谷公会堂の入りも芳しくなかったようです。しかし、公演が続くに連れ上手いと言う評判が伝わり最後の方は満員になったそうです。
音楽に国境無しと言いますが、フォイアマンは日本歌曲を何曲か録音しています。恐らく来日中にレコード会社の要請で録音したと思われます。多忙な日程で、今のようにデジタル技術が発達して音程のミスまで修正出来ると言う風で無かった時代です。見事にフォイアマンは日本の心を音にしていると思います。ああ、フォイアマンは音楽の国境を超えてるんだと思うところです。

ラフマニノフ 前奏曲
2、S.ラフマニノフ作曲 前奏曲嬰ハ短調
演奏:作曲者
ラフマニノフは丁度電気録音が出始めた頃にロシア革命でアメリカにやって来ました。それで殆ど自作の曲ですが録音しています。例えば、ピアノ協奏曲第2番をユージン オーマンディ指揮によるフィラデルフィア管弦楽団と入れています。確かウチに有った筈なんですが見つかりません。仕方なく前奏曲を聴いて頂きました。
彼はピアノ協奏曲第2番を後輩のロシア出身のウラジーミル ホロヴィッツにオーケストラパートを担当させ自分はピアノソロパートを受け持って演奏会で演奏した事が有りました。ホロヴィッツは新進気鋭のピアニストでとても上手でラフマニノフは以後この曲を演奏する事は無かったと言います。演奏家の寿命は短いです。しかし、作曲家は死後有名になったりします。どちらを選ぶべきでしょうかね?

5/3 OA楽曲とコメント

フォイアマン

J ハイドン作曲チェロ協奏曲第2番ニ長調
演奏:エマニュエル フォイアマン
僕が最初に手ほどきを受け生涯チェロと共に過ごす事が出来たのはこの先生のおかげだと思っております。その先生は東海正之さんと言うお名前で桐朋学園音楽学部を作られた斎藤秀雄先生のお弟子でした。斎藤秀雄先生は2度ドイツに留学されてますが初回はクレンゲルに2回目はフォイアマンに習いそこでフォイアマンの奏法を理論付け、体系化し実際のチェロ教育に生かしました。日本が世界のチェロ界を一時リードしてましたがそれは正にフォイアマンから斎藤先生に受け継がれた近代チェロ奏法のお陰だったんでしょう。
東海先生は僕によく「君はフォイアマンのひ孫弟子にに当たるんだぞ!」それでフォイアマンってどんな人?どんなチェロを弾く?とレコードを探しました。
彼の演奏は一言で言えば端正と言うことでしょうか?演奏を聴いていてその曲が難曲だと感じさせるのは技術が未熟なんです。彼の演奏を聴いているとそんな事は全く感じさせません。
ハイドンのニ長調の協奏曲は長い間他の人の作品では無いかと疑われてましたが結局ハイドンの作品で有ることに落ち着いた様です。この曲は正に端正な上品な曲です。
楽譜を見ていると易しい曲に見えるんですがこの曲が一番難しい曲だと言う先生方もおられます。

 

ラフマニノフ チェロソナタ

S ラフマニノフ作曲チェロソナタト短調
演奏:M ロストロポービッチvc、ディデューヒンpf
ラフマニノフは存命中はピアニストとしての方が断然有名でした。彼はとても手が大きくてオクターブ半が届いたとのことで、よくピアニストが距離が離れすぎて同時に弾くには手が届かないと嘆いてるのを聞きますが、彼はそんな苦労が無かったみたいです。
そんな根っからのピアニストだった彼がよくチェロソナタを書き残してくれたと感謝に絶えません。しかし、この曲は昔はあまり演奏される事が有りませんでした。と言うのはやはりピアニストが書くチェロソナタなのでついピアノ中心に書いてしまうんでしょうね。ピアニストがつい張り切って弾いてしまう様に書いてるんですね。それに対してチェロの音域は低く書かれていて張り切りピアノに対抗してチェロを聴かせようともっと頑張らないといけないんです。その点が難しいんですねこの曲は。難しい割に受けないのであまりみんなが演奏しなかったんでしょう。
でも、やっぱりメロディメーカーのラフマニノフですから美しいメロディに溢れていて演奏したくなると言う罠にかかってしまいます。
ロストロポービッチの演奏はやはりお国ものだけあって堂にいったものです。