月別アーカイブ: 2015年9月

9/27 OA楽曲とコメント

アンドレ・ナヴァラ
G.フォーレ作曲:セレナーデ
演奏:アンドレ・ナヴァラvc
ナヴァラと言うフランス人のチェリストですが、彼はバスク地方の生まれです。現在の国境線で言えばフランス国で彼はフランス人なのですが、元々このバスク地方と言うのはスペインとフランスの国境近くピレネー山脈の麓でずっと独立性を保って来た地方なんです。言語もバスク語が使われています。バルセロナを中心としたカタロニア地方もカタロニア語を使っていますが、カタロニア語はスペイン語とフランス語の折衷語で有るのに対して、スペイン語でもフランス語でもない全くルーツの分からない言語なんです。それだけ独立性が高い地方であると言う事です。バスク地方はスペイン国内で4つフランス国内に3つのエリアからなっていて何とその中にナヴァラと言うチェリストと同じ名前のエリアが有るんです。実は有名なヴァイオリニストであったサラサーテはこのナヴァラ地方の生まれなんです。そんなバスク地方が独立した国家にならないのは経済力でしょう。
一方フォーレはパリに近いところの出身者ですがフランスのエッセンス溢れる曲を沢山書いてますね。そのあっさりしていてちょっとウイットやペーソスが含まれてる曲をナヴァラは情熱を持って演奏していますがそれがいいですね。ナヴァラは血の気の多い演奏家ですね。

エマニエル・フォイアマン
G.ヘンデル作曲:オルガン協奏曲(チェロ用に編曲したもの)
演奏:エマニュエル・フォイアマンvc
音楽史にさん然と輝くバッハとヘンデルは同じ年の生まれです。偶然でしょうか?又、バッハが生まれたアイゼナッハと言う町とヘンデルが生まれたハレと言う町はそんなに遠くないです。これも偶然でしょうか?バッハはケーテンの王様に長く仕えその後ライプツィヒのトーマス教会に就職しますが、彼の人気と言うか評判はせいぜいチューリンゲン地方限定だったんです。その頃ドイツを(と言ってもまだそんな国は無いんですが)代表する国際的にも有名な作曲家はテレマンでした。現在の評価は全く逆転してますね。ヘンデルは作曲家になってイタリアを旅行するんです。そしてオペラを勉強して実力を付けます。そして、作曲家の穴場で有ったイギリスに目を付けてイギリスに移りそこで人気爆発させます。そして、イギリス人になってしまうんです。その辺が彼のキャパシティの大きい所でしょうね。そして、目端が利く。

9/20 OA楽曲とコメント

VIVALDIA.ヴィヴァルディ作曲2つのチェロの為の協奏曲ト短調
演奏:ポール、モード・マルタントルトリエ夫妻のチェロ
夫婦が同じ楽器のば場合大体先生と生徒の関係が発展したんですね。カザルス夫妻、クラレット夫妻もそう、このトルトリエご夫妻もそうのパターンですね。
ヴィヴァルディは女の子の為の慈善修道院で音楽の先生をしておりました。彼が書いた膨大なコンチェルトはこの修道院の女子生徒が演奏する為に書かれたました。ヴァイオリンコンチェルトが多いんですがチェロコンチェルトも結構書いてますね。彼の作品では「四季」がダントツに有名ですが、その他にも一杯素晴らしい協奏曲を書いています。

W.A.モーツアルト作曲ヴァイオリンソナタ ホ短調 K304
演奏:鈴木理恵子vn、若林顕pf
モーツアルトが書いたただ一つの短調のヴァイオリンソナタです。バッハの時代では曲の楽器指定と言うのは厳格では無かったんです。演奏できればどんな楽器で演奏しても良かったんですね。と言っても音域が楽器によって変わって来ますのでvn用に書かれたパートをチェロで弾く事は無かったのですがvnのパートをフルートとかオーボエで演奏すると言う事は良く有ったようです。音楽がプロフェッショナルな演奏家が演奏して聴衆がそれを聴くというようではなかったのです。音楽はむしる演奏する楽しみのの為に有ったと言うべきでしょう。王侯貴族達は作曲家を雇って作曲させそれを自分が友達やプロの演奏家と一緒に演奏するものだったんです。
それが今日のような聴きてからお金を貰って演奏家が演奏するようになったのは大体べートーベン以後の事です。モーツアルトは丁度その移行期に登場した作曲家ですね。
モーツアルトはこのヴァイオリンソナタを書く前にもヴァイオリンとピアノのソナタを書いてるんですがそれはヴァイオリンの伴奏付きのピアノソナタで演奏の中心はピアノでした。この曲を含む一群のヴァイオリンソナタ以後ほぼヴァイオリンとピアノが同等に扱われます。
ホ短調のこのソナタはモーツアルトがミュンヘンからパリに行った時に書かれました。メラメラと情熱が吹き上がるのを抑えながらほの暗くても美しいメロディーが紡ぎ出されます。

9/13 OA楽曲とコメント

アントニオ・ヤニグロ

G.タルティーニ作曲コレルリのテーマによる変奏曲
演奏:アントニオ・ヤニグロvc.
この曲を本当に作曲したのはタルティーニでは有りません。フリッツ.クライスラーと言う戦前に活躍した有名なヴァイオリニストがいたんですが、実はこの曲を作曲したのは彼なんです。彼は古典派とそれ以前の作曲家の名を騙って自分の作品を演奏してました。この曲もタルティーニ作曲クライスラー編曲と言って演奏してました。みんなすっかり騙されておかしいとは気づかなかった様です。ある、音楽雑誌の記者がクライスラーは良く演奏してるのにオリジナルが見当たらないのでクライスラーに直接聞いた見たんです。そうするとクライスラーはあっさり自分の作品で有る事を認めてしまいました。
この曲は正しくはクライスラー作曲「コレルリのテーマによる変奏曲タルティーニ風」でしょう。このコレルリのテーマはいろんな作曲家が使っています。使いやすかったんでしょうね。

 
W.A.モーツアルト作曲ヴァイオリンソナタK379
演奏:鈴木理恵子vn、若林顕pf
10月にこのお二人によるモーツアルトのヴァイオリンとピアノ二重奏のコンサートが有ります。それに先駆けてCDをオクタビアレコードから発売されました。この曲は通常モーツアルトのヴァイオリンソナタと言い、ヴァイオリンの独奏曲の様に聞こえますが本当は室内楽で2重奏曲なんです。2重奏と言うのは2つの楽器がそれぞれ主役になったり脇役になったりしながら進んで行く曲です。ピアノは伴奏では無くヴァイオリンと同格なんですね。ただモーツアルトの時代のヴァイオリンソナタはどちらか言うとピアノの方が主役が多い様に思うんですが。又この時代のピアノはまだまだショボくて大きな音も出ませんですし、音も鍵盤を叩いても直ぐに減衰して消えてゆきます。モーツアルトがピアノを担当してのこのソナタの演奏をしたとするとその響きは今とは随分違ったものだったでしょうね。
鈴木理恵子さんの清楚にして心をくすぐるヴァイオリンと若林顕さんの大きな演奏をお楽しみ下さい。

9/6 OA楽曲とコメント

ピエール・フルニエ

F.ショパン作曲ノクターン
演奏:ピエール・フルニエ
アメリカ映画で愛情物語で使われた数多有るショパンの曲中最も有名と思われる曲です。
しかし、これをチェロで弾くと良いですね。ピアノの次に合うのがチェロですね。
フルニエは又この曲を上手に聴かせてくれますね。僕は今ドイツのフライブルグでチェロの研修中なんですね。僕のレッスンをして頂いた先生はシュワルツ先生と言ってナバラ、フルニエに習ってるんです。先生にフルニエが1972年に来日した際に大阪フェスティバルホールの楽屋にサインを貰いに行った時握手をして貰った思い出を話しました。フルニエの手はまるで骨の無い手の様にどこ迄も柔らかかったです。指も太く手も大きかったですね。
シュワルツ先生はフルニエのあのメローな音は彼の手とボーイングであったと言っておられました。あんなに綺麗な音を大ホールの後ろの席まで届かせるような演奏はフルニエの独壇場だったですね。

 

Violin Concertos
A.ベルク作曲ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出」
演奏:I.パールマン、小澤征爾指揮ボストン交響楽団
シェーンベルクが発明した12音技法の後継者ベルクが書いた唯一の協奏曲です。可愛がっていた友人の子供が幼くして病気で亡くなった心の痛みを音楽で表現した曲ですね。ベルクの作品の中でも最も美しい作品として近代音楽にしては珍しく良く演奏会で取り上げられますね。

8/30 OA楽曲とコメント

ピエール・フルニエ

J.F.ハイドン作曲:ミヌエット
演奏:ピエール・フルニエ
チェロの貴公子と生涯言われたフルニエですが、彼の演奏はそんなイメージとはかなりかけ離れてる様に思うんです。彼の演奏は常識破りで他の演奏家とはかなり違った演奏、ボーイングであったり、フィンガリングで有ったりします。優美な演奏かと言えば逆に力強い堂々とした演奏スタイルです。チェロの貴公子と言うニックネームは多分かれの容貌、(中々ハンサムですね、)そして彼は子供の頃患った病気で片脚が動かないので、ステージに出る時はいつも杖をついてチェロを持たずに登場します。誰かスタッフの人が彼のチェロを持って後から登場しうやうやしく彼に渡して演奏の準備に入ります。自分でチェロを持たずお付きにチェロを運ばせる様が貴公子然としています。また、彼の音色は非常に美しくメローな素晴らしい音を紡ぎ出します。それも貴公子的ですね。
彼は最後の奥さんが日本の方だった事も有るんでしょう、良く来日していました。有る時僕はサインを求めて楽屋に行って最後に握手してもらった事が有ります。握手してくれた彼の手は骨の無いマシュマロの様な手だった事を覚えていまづ。それは1972,3年の事だったと思いますが、あの柔らかな指先であの音が出てくるんだと納得しました。ハンガリー出身のシュタルケルの手はもっとガッシリしていましたね~。

 

シェーンベルク 浄められた夜

 
A.シェーンベルク作曲浄められた夜
演奏:ボストン室内楽協会(弦楽六重奏)
シェーンベルクと言えば12音技法の創始者として音楽史にその名を残します。12音技法に辿り着くまでにロマン派的調性音楽を書いていた頃の作品です。メロディーが偶然では無く意図を
持って作られています。つまり綺麗に聞こえる様に書いています。美しいメロディーが次々に現れます。しかし、全体に何となく甘美であっても悪夢を見た様な気味悪さが残りますね。